しょうの自由帳

自由に生きる人のライフログにしようと試みるも書けないことが多すぎて企画倒れ

交換留学・奨学金手続きのもやもやから学ぶお役所仕事

2015年からブラジル・サンパウロに交換留学を利用して行くことを決意した。大学と手続き・交渉の過程が役所仕事を実感する良い機会になったので、ここに記す。

 今回の留学計画について

計画の動機と概要

先日の記事を参照:

【理由編】大学の留学制度を利用してブラジルに行きます

【仕事編】大学の留学制度を利用してブラジルに行きます

 

交換留学制度

交換留学制度とは、海外大と提携して、互いの学生を半期~通年程度の期間で交換しましょうという制度(大学間協定と部局(学部)間協定がある。

  • 自分の大学に籍をおきながら留学する
  • 期間中は留学先の学費は免除され、自分の大学の学費を支払う
  • 留学先での単位が自分の大学で認められる場合がある(単位互換)
  • 学内の選考(と留学先の大学の専攻)に通過する必要がある

などが特徴。重要なのが4番目で、留学可否を決めるのは大学なのだ。大学側が安心して派遣できる学生像を演じる必要がある。提出書類は志望動機、推薦状、語学力証明証など。

 

トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(奨学金制度)

今回メインで応募する奨学金制度。おそらく2014年から始まった新しい試みで、多様な形の留学を支援する、と謳っている(論と実際の相違は知らない)。企業からも数十億円の寄付金を集め、官民協働で日本人流う学生を増やそうという試みだ。確かに留学生少ないもんね。

今回のように、文系専攻かつ学外活動活発な留学計画にはピッタリの奨学金(というか他に候補がない)である。給付型(返済不要)奨学金で、額も手厚い。行き先の距離と物価などに応じて額が変わるが、ブラジルの場合授業料最大30万円、渡航費20万円、生活費12万円/月(最大1年間)という手厚い支援。留学生コミュニティや事前事後研修も期待できるというおもしろい制度だ。渡航中の安全管理は所属大学が責任を取る

 

このように、ブラジルへの留学を交換留学制度と公的奨学金制度を利用していこうとしたのだけれども、大学との手続きを通じてもやもやすることがいくつかあった。

 

もやもや集 

 もやもや1:「交換留学OK、奨学金応募NG!?」問題と呆気無い解決

今回留学を予定しているサンパウロ大学は、ブラジル・サンパウロ市内にあり、自分の所属する大学と交換留学協定(2名)を結んでいる。つまり大学を通じた正式な留学の扉がある。そのサンパウロ大学に留学するための奨学金制度の応募書類を提出したところ、奨学金は応募できないと言われた。

 

教務掛:「学部として応募の許可を出せません」

しょう:「留学できるのに奨学金に応募できないのはなぜですか」

教務掛:「留学生課本部が『外務省の海外安全情報で"十分注意してください"以上の危険情報がある場合は原則として渡航をやめるよう指示願います』と言っており、ブラジル・サンパウロがその基準に抵触するからです」

 

安全上の理由から奨学金応募は認められないが留学は認められるというのは不合理だし、そもそも「十分注意してください」以上なんて基準が厳しすぎる。そう考えるとロシア、インドネシア、フィリピンだって行けなくなってしまう。

 

しょう「『原則として』とあるがどうすれば許可が降りるのでしょうか」

教務掛「わかりません。留学生課と相談してみます」

 ーー相談後

教務掛「十分安全に配慮した計画であることをきちんと証明し、部局と部局長が許可すればOKとのことです」

しょう「(ダメダメ言っていた割には留学生かも結構投げやりだな。)何を準備すればよろしいでしょうか?」

教務掛「下記内容(※)が書かれた同意書を作成してください」

しょう「(ほんとに結構テキトーだな)はい、ありがとうございます。」

 

と意外にもあっさり解決。先日までの「ムリです」みたいな見解はどこへやら。

下記内容(※):

 

  • 現地の安全情報に十分注意し、安全確保に務める
  • 学部、実家及び派遣先と連絡を密にし、随時安否・状況確認が可能なよう取り計らう
  • 派遣前に学部が提供する「海外緊急自己支援システム」に加入する
  • 派遣前に十分な保証や応急処置が整備されている海外旅行保険に加入する

 

前半2つは具体的な内容が盛り込まれておらず、後半2つはごく当たり前の内容。これだけだと逆に安全に不安が残るような同意内容...。ほんとに大丈夫かこれで。

 

もやもや2:「どうせ留学生いないだろう」という見込み主義

 そんなわけで無事奨学金は応募完了。次は交換留学に正式応募だ。応募はオンライン上で行うのだが、応募の選択肢に「サンパウロ大学」がない!よくよく見てみると、ブータンの大学とか、最近協定を結んだばかりの大学がオンラインフォームの選択肢に含まれていない。結局しょう→学部教務掛→留学生課→学部教務掛→しょうという大変無駄な一往復の連絡を経て、応募ができるようになった。どういう留学生課がどういう業務フローで動いているのか、もやもや...。

 

もやもや3:形式だけの推薦状

交換留学の応募には、指導教員からの推薦状が必要だ。これがあまりにも形式的すぎて驚いた。意味が無いのではと思う。推薦状の実態はこうだ:

 

  • 指導教員=半年~一年に一度しか顔を合わせない少人数担任の教授、あるいは所属研究室の教授(しかし所属は4回生なので、多くの場合お互いを殆ど知らない
  • 教員は過去の推薦状の例を閲覧可
  • 推薦状は教務掛に学生が提出(持参)封は不要(=学生が中身を確認できる)

 

これがいかに常識はずれで無意味か、分かる人には分かると思う。しかもこの推薦状は日本語で書くので、留学先へのアプライ用には使えない。学内専攻のためだけに用いられる。そんなことならわざわざ教授(や学生)の貴重な時間を使って推薦状を用意する必要はない。成績表による判断で十分だ。

 

もやもや4:続・見込み主義と脆い留学支援設計

 ブラジルはポルトガル語圏。渡航前にポルトガル語を身につけなければならない。しかし僕の所属する大学はポルトガル語の授業がない。なので「大学コンソーシアム京都」という他大学の一部の授業を受講できる制度を利用して、京都外国語大学・短期大学で提供されているポルトガル語の授業を履修しようとした。これもオンラインの出願システムで履修登録する方式であり、シラバスを見てみると、「履修対象大学」に僕の大学が含まれていた。「よかったこれでポルトガル語の授業を受けられる」と意気揚々に履修申請と応募理由を提出した。

審査結果を待つものの、授業開始前々日になっても連絡が来ない。そして前日の夕方学生課から一通のメール。

 

学生課「単位互換科目外なので削除しました

ーーたまらず電話を折り返す。

しょう「履修対象大学に含まれているのにダメなんですか?」

学生課「単位互換科目外なのでダメです。」

しょう「ではなぜオンライン上で応募できてしまうのですか?応募理由もしっかり書きました」

学生課「あなたはどこを参照して応募できると判断したのですか?ダメです。」

しょう「大学コンソーシアムです。」

学生課「確かに大学コンソーシアムには加入していますが、きちんと個別の科目の指示を見ましたか?」

しょう「はい。個別のシラバスの履修対象大学に含まれていました」

学生課「そんなはずないのですが…。」

しょう「確認して折り返し電話ください・」

ーー折り返し電話が来る

学生課「確かに書いてありますが、これはミスです。でも履修は認められません。該当のミスは後で訂正しておきます。ちなみに、大学を通じてでなく、一般の窓口なら応募できますよ。ただ応募期間が過ぎていたら応募できませんし、応募できても有料だと思いますが(フフッ←ひにくなえみ)」

ーー追伸の電話

学生課「いや、調べてみたらやっぱり一般の窓口はありません。諦めてください。」

 

というわけで、計画瓦解。瓦解だけなら自分の確認不足とも言えるが、

 

  • 前日の夕方に連絡
  • この対応のために電話で何度もやりとり
  • 調べてもない憶測を事実のように語り、結局間違っている
  • 「わざわざ手間かけさせんなよ」というような皮肉な口調や笑み

 

というのはさすがにもやもや(怒)。そしてこれは愚痴に近いが、ポルトガル語圏に留学許可をしているなら、単位互換科目として許可してもいいのに。。。と思う。大学内部署間の連携不足があからさまに感じられるので、許可しない明確な理由があるわけではなく、単に連携が取れていないだけという疑惑しか残らない。

 

こんなかんじで終始モヤモヤでしたが、良い勉強になりました。

 

It's Unbelievable!

しょう