ブラジルと日本の最近と今後の課題
積極的な日本政府
最近の日本政府はブラジルに対してかなり積極的な姿勢を示しているように見える。首相がブラジル訪問し、政府系の案件を中心に、数々の受注や提携の発表がニュースで流れている。分野は重工業、農業から医療、食品まだ幅広い。ニュースのリストはこの記事の最後に記載しているので、ぜひ興味のあるものを見てみてほしい。
そもそも、日本とブラジルの関係はもっと親密であるべきだ。技術を持て余し、資源が足りない日本と資源を持て余し、技術が足りないブラジルは相互補完的だ。150万人の日系人やその歴史的背景から、特にブラジル側の日本に対するイメージはポジティブだから、商談もスムーズだ。"Japones Garantido(日本人は信頼できる)"という格言もある。
一方で、地理的な距離や所謂「ブラジルコスト」、「ブラジルリスク」からブラジルは敬遠されてきた。特にリスクをとりたがらない多くの日本企業は、レアルが乱高下していた時代の失敗経験からブラジル進出にすくみ上がっている(推進派がいても稟議書が通りにくい)。確かに、ブラジルは多くの問題を抱えているが、それでも欧米や中韓は積極的に大規模投資をしている。それだけの価値があるし、何より投資することでブラジルは改善されるからだ。設備やインフラだけでない、法律さえも変わってしまうのがブラジルだ。大企業の誘致がかかっていれば税制優遇や規制緩和など、柔軟に法律を修正してくれることも少なくないのだ。
そんな中、日本は他国より有利な条件をもつにもかかわらずブラジル進出に積極化できずにいた。これが改善されつつあり、ニュースとして露出度が高くなっているのは素直に嬉しく思う。
今後の課題
それを踏まえた今後の課題は、思いつく限り以下にまとめられると思う。
1. 積極交渉
日本政府、日本人は交渉事が下手だ。下手ながらも積極的に交渉をしてブラジルの法制度をバンバン変えていかなければならないし、他国との競争に勝ち抜かなければならない。この交渉力はほんとうに大事だ。
2. 人的交流の強化
技術など固い交流だけでなく、人的交流も盛んにすべきだ。これが中長期的にビジネスの拡大に効いてくる。また、日本企業にブラジル人(特に日系人)が増えれば、ブラジルへの視野が広がり、競争上有利になる。また、日本のビジネスパーソンとは考え方が全く異なる人材を採用することは、組織にとって刺激になり、日本の競争力向上につながる。そんな異文化人材の最高の候補がブラジル、というわけだ。
3. 中小企業進出の強化
大企業に対しては政府のバックアップがある今、中小企業のブラジル進出をいかに支援するかが課題として浮かび上がる。実際に、ブラジル進出日本企業は大企業が300社程度あるにもかかわらず、中小企業は100社程度であり(帝国DB,2013)、これは相当に少ない数字だ。中小支援には政府の支援も回りきらないことも多いから、草の根の活動が必要だ。しかし、南米進出を支援できるコネクター、コンサルタントは現状少ない。この溝を誰かが埋めなければならない。
Opa! Brasil!!
しょう
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【政府系】
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